最高の豚ドンを君に
君に最高の豚ドンについて教えよう。
ただし松屋限定だから注意して欲しい。
まず、普通に豚ドンを注文しよう。つゆだくでもかまわない。でも、つゆぬきはいけない。
さぁ豚ドンが届いた。あっという間だ。
そこでおもむろに、フレンチドレッシングに手を伸ばす。
余談だが、松屋のフレンチドレッシングは、フレンチドレッシングではない。ただのコールスロードレッシングだ。
さてそのフレンチもどきの白いドレッシングを、お好み焼きのマヨネーズのように、細く、鋭く、網掛け上に満遍なく振り掛ける。
次にカルビソースだ。甘辛バーベキューとかなんとかいうやつだ。それを今度は、円を描くように、やや荒い手つきで振り掛ける。さきほどの白が半分ぐらい見える程度がいいと思う。
これで完成だ。肉の臭さを消し、それでいて肉のうまさが引きたつ。ほどよい酸味が君の疲れを忘れさせてくれる。そして、ほのかな甘さ。味の輪郭がぼやけ、それでいて鋭く突き刺さる衝撃。「これは寿司だ!」そう、寿司の味なのだ。肉なのに寿司。油なのに寿司。
松屋の米は、吉野家に比べ、粘性が高い。要するにべちゃっとしている。そこへ調味料をふりかけているので、多少べちゃっと感が気になることは避けられない。ただしそれほど心配する必要はない。
それでも油っぽさが気になるのなら、紅しょうがを上から散らそう。少し多めにだ。これで寿司感はさらに増す。そこには寿司の醍醐味が凝縮されている。
以上だ。
これは、4年間の研究の成果であるから、かなり自身を持って君に伝えている。ぜひ君にもこの味を知ってもらいたい。
そしていつの日か、松屋でメシを食わなくても済むような日が来ることを、ともに祈ろう。労働者諸君!