病院坂黒猫/朝の気配

主人公・様刻が、に感じる一言は鮮烈で、なんというか病院坂はそのときものすごく物語の核心を突いたことを全身全霊をかけて文字通り必死な有様で、長々としかしピシリと、うまいこと言ったのにもかかわらず、主人公の方はといえば、システムがどうとか世界がどうとか、「きみは、たったそれだけのことで悩んでいたのか!」って、口をついて出そうになったわけだ。



きみは、たったそれだけのことで悩んでいたのか!



世界だとか、システムだとか!



っていうのは僕がまさに誰かに言いたいというか言うべきことであって、それは同時に自分にも言い含めるべきというか、やはり人のことを言うのもいいが自分の生活こそが一番大切なので、僕はたまにこういう視点を引き出せるように、引き出しに入れておくべきなのだ。



セカイ系だとかライトノベルだとかに限らず、ひろく人間の言葉というものは、「僕は君のために何もしてあげられません」ということを表明し続けているような気がしてならない。そんなわけで僕は決して核心をついたことを口にはしないのだ。そしてそれは他の人間にしてもそうでしょう。



まぁこんな朝っぱらから、他者についてであるとか、責任主体であるとか、そういう入り組んだ話はナシだ。



朝にはもっと、単純で愚直で健全で、身の程知らずな笑顔が必要だ。



発見には乏しいが、回復しているのはいいことだ。